2022.01.26
SRMとは?戦略的ソーシングを実現するために重要な理由と活用方法
皆さんは、「SRM(サプライヤーリレーションシップマネジメント)」という単語についてご存知ですか?調達実務に当たられている方でも、「聞いたことはあるものの、曖昧にしか理解できていない」という方も多いのではないでしょうか。
SRMには、より有効なサプライヤーの活用、コスト削減、リスクヘッジなど多くの効果があります。
そこで、本記事では、皆様がSRMに取り組めるよう、SRMの意義、活用方法となぜ重要なのかについて解説します。
TEXT BY Leaner Magazine編集部
SRMとは?
SRMは「Supplier Relationship Management :(サプライヤリレーションシップマネジメント)」の略で、組織に商品、材料、サービスを提供するサプライヤーを適正に評価し、パフォーマンスを向上させるための戦略を開発するための体系的なアプローチのことです。
企業が単に製品を購入するのではなく、企業間で相互に有益な関係が構築され、維持される状態を指します。
つまり、製品やサービスの購入者としての企業と、供給するサプライヤーとの間で行われるプロセスを、合理化および改善することといえます。
SRMは、各サプライヤーが提供する価値を引き出し、自社事業継続性とパフォーマンスを最大化することに役立ちます。また、調達・購買担当者は、各サプライヤーの重要性に基づいて、サプライヤーとのより良い関係を築くことができます。
SRMが重要なのはなぜか?
調達・購買は、会社のコストを管理しながら収益を生み出し、ビジネスを継続する上で重要な戦略的役割を果たします。ただし、サプライヤーとの関係が悪い場合、多大な時間とお金を失うことになりかねません。そのため、良好なサプライヤー関係を構築および管理することは、組織全体に大きな価値を生み出すと言えるでしょう。
とはいえ、サプライヤーとの関係は決して一方的なものであってはならないことを常に覚えておくことが重要です。それらは常に相互に有益な合意に基づくべきです。両者がパートナー関係に満足しているという、双方にメリットのある状況が最も望ましいです。
PwCによると、良好なSRMは、以下の結果をもたらします。
- 市場シェアの増加
- 市場の変化への対応
- 投資収益率の向上
- 注文履行の短縮
SRMの目的
SRMは主に次のことに役立ちます。
- サプライヤーの能力をより有効に活用する
取引が1回だけでなく、継続する場合、メリット創出が可能です。企業が求める条件と、サプライヤーの強みを最大限活かすことで、最適な調達・購買が可能になります。この際、サプライヤーとの関係の可視性を高めることが重要です。
- コスト削減
SRMによって調達・購買活動を最適化することで、コスト削減を実現することができます。
- サプライチェーンの継続性を確保する
リスク調査を行い、カテゴリ、地域などに基づいてサプライヤーをセグメント化することでサプライチェーンの持続性を確保します。この際、品目カテゴリ毎に調達戦略を立案・実行すること、カテゴリ毎のメリット・デメリットを定量化することが求められます。
- サプライチェーンのリスクを軽減する
サプライヤーの特徴に基づき、リスク調査を行い、リスクを最大限に抑えることが可能です。どのサプライヤーにどのくらい支出があるのかを把握し、それぞれボリュームの割り当てを決定します。常に他の潜在的なサプライヤーにも目を向けることが重要です。
- サプライヤーの応答性向上
サプライヤーとの関係性を構築・強化することで、応答性を向上することができます。受注から納品までのリードタイム短縮や納期遵守率の向上、配送信頼性向上などに効果があります。
- 将来の価格を可視化し、価格の変動をヘッジする
契約書、メールでのやり取りなどのすべてのサプライヤーデータを一元化された場所に保存します。サプライヤーの特徴や取引品目、取引理由などを把握し、サプライヤーとの関係を可視化することで価格変動をヘッジします。
SRMへの取り組み方
SRMは、主に以下の3ステップで進めます。
1 サプライヤーの洗い出し
まず、サプライヤーの強みや品目、地域、リスクなどを調査し、情報を集めて一元管理できるようにします。
情報一元化のためには、サプライヤー管理プラットフォームなどのツールを利用するのも1つの方法でしょう。その際、以下の機能があることが望ましいです。
- 連絡およびコミュニケーション管理
- 請求書と請求書
- 注文履歴
- スケジューリング
- パフォーマンス分析
- サプライヤーのリスク管理を含む調達インテリジェンス 。
- ポートフォリオ戦略管理などの製品ライフサイクル管理
- ソーシング
- サプライヤーの要求の検証を含む、サプライヤーのデータ管理
- サプライヤーの業績管理
- 契約管理
- カタログ管理
- 発注書の処理などの運用調達
- 製品仕様などの外部リソース
そして、集めた情報に基づいてサプライヤーの位置付けを行い、取引先の候補を洗い出します。公平な機会を用意することで競争環境を創出し、契約条件の決定とリスク評価を行います。
SRMを成功させるには、サプライヤーの選択プロセスは慎重に行う必要があります。
2 サプライヤー戦略の実行
前段階で取引先候補に決めたサプライヤーを、予め立てておいた戦略計画に合わせて最終的な取引先を決定します。サプライヤーの洗い出しを慎重に進めた結果、自社の調達戦略に一致したサプライヤーが選択されているはずです。
この際、取引するサプライヤーとは、共通の目標と目的を持つことが重要です。
サプライヤーが顧客の要件を確実に理解することは、サプライヤー側のメリットにもなります。サプライヤーと密に連絡をとり情報共有をすることで、需要と供給の予測ができ、サプライチェーンと調達の成功に繋がります。
3 振り返り
SRMを行ったら、関係者で結果をフィードバックします。
どの程度コスト削減ができたのか、納期が短くなったのか、トラブルが減ったのかなどを可視化し、定量的に振り返るようにしましょう。
可視化・定量化することで、活動を正しく評価し、次回に活かすことができます。
本記事では、SRMの意味やどのようなメリットがあるかの説明や、基本的な進め方をご紹介しました。
おわりに
SRMは調達・購買の安定化だけでなく、コスト削減や納期短縮にも効果があります。
本記事を参考に、皆様の企業におけるサプライヤーとの関係性を見直してみてはいかがでしょうか。
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