2022.01.25
調達業務で価格査定を効果的に行うコツとは?うまく取り組むコツをご紹介
調達・購買業務において重要な役割を果たす「価格査定」。価格査定を適切に行うことは、企業の利益確保において重要です。
しかし、実際の現場では、書類作成や社内のコミュニケーションに時間を割いてしまい「価格査定に時間をかけられていない」という方も少なくないのではないでしょうか。
本記事では、価格査定を行う目的や、うまく取り組むためのコツについて解説します。
TEXT BY Leaner Magazine編集部
価格査定とは?
調達・購買部門では、製品製造に際して購入したい部品や材料について、担当者が仕様や数量、納品場所等を複数サプライヤーに伝え、見積を集めます。その後、注文書を発行し契約するのが、一般的な業務です。
集めた見積は、サプライヤーごとに材料費や加工費、郵送費など明細が異なります。そこで、明細が異なるものを同じ軸で情報をまとめて横比較し、自社の条件にあっているか、過去の購入履歴と比べて価格・条件の変化はあるのか、原価や材料市況と照らし合わせて価格の妥当性、時間コストを見極めます。これを「価格査定」と呼びます。
価格査定を行った結果、取引を行うサプライヤーを決定していくのが、一般的な調達の流れです。
調達部門の多くが価格査定で抱えている課題
価格査定を行う際、日本の調達部門に多く見られる課題に、以下の3つがあります。
過去のデータがないため、戦略的な価格査定ができない
1つ目は、「過去のデータがないため、戦略的な価格査定ができない」ことです。
価格査定を行う際、サプライヤーから受領した見積を、過去のデータと照らし合わせることは重要な取り組みの1つです。しかし、過去の見積を書類でやりとりし、書類を処分している場合や紛失した場合、過去見積との照らし合わせができず、適切な価格査定が難しくなります。
同様に、データを保管していても、書類やExcelで保存していると、探したいデータがすぐに見つからず、業務効率の低下に繋がるでしょう。
フォーマットが統一されていないため、効果的な査定ができない
2つ目は、価格査定を行う際、「フォーマットが統一されていないため、効果的な査定ができない」ことです。
価格査定では、集めた見積データを取りまとめて横比較しなければなりません。しかし、その際にフォーマットが統一されていないと、サプライヤーごとの横比較表を自力で作成する必要があり、多くの時間を要します。非効率なだけなく、効果的な査定を行うことも困難となります。
ノウハウ共有がされておらず、価格査定できるようになるまでに時間がかかる
最後は、「ノウハウが共有されておらず、価格査定できるようになるまでに時間がかかる」ことです。複雑性の高い調達実務において、ベテラン担当者が自身の知識や技術を伝承するのは困難です。担当者が替わったり、新人が入ってきたときには、従来の担当者と同水準で価格査定を行えるようになるまで、時間がかかることになります。
価格査定にうまく取り組むためのコツ
本章では、これまで紹介してきた課題を踏まえ、価格査定にうまく取り組むためのコツについてご紹介します。
価格査定を行う際、以下の5点に注意しましょう。
1つ目は「フォーマットの統一」です。たとえば横比較の際、材料費、加工費、管理費など各項目で軸を統一することが重要です。そのため、横並び比較ができるよう標準化された比較フォーマットを予め作成しておき、サプライヤーに渡しておきましょう。
2つ目は、「過去の見積との比較」です。新しくとった見積データだけではなく、過去のデータと比較する必要もあります。過去の見積もりと価格が異なった場合には、その差分は何なのかを明確にします。
3つ目は、「新規サプライヤーの開拓」です。既存サプライヤーとだけ取引を行っている場合、適切な価格取引がなされていない場合があります。そのため、既存サプライヤーだけでなく、新規サプライヤーも開拓し、幅広いサプライヤーから見積をとりましょう。
4つ目は「価格査定における人的リソースへの投資」です。人的リソースへの投資を行い、価格査定のために時間を割いて、積極的に取り組むことが重要です。
最後は、「ノウハウの共有」です。現状、多くの企業で価格査定のノウハウが共有されていない、または口頭でしか教えてもらえていない状況に陥っています。システムなどを活用し、ノウハウの共有を目に見える形で行うことが重要です。
また、近年ではクラウドで価格査定を行うことが一般的になっています。価格査定システム選定の際のポイントは、以下の4つになります。
初期設定やカスタマイズが簡単にできる
システムを使用する上では自社で使いやすいよう設定やカスタムが自由に、簡単にできることが重要です。
システムを使い始めるまでに時間がかからない
導入から即座に使用開始できることは、システムを活用するうえで重要な要素の1つです。
サプライヤーも簡単に使える構造になっている
自社にとってだけではなく、サプライヤーにとっても使いやすいシステムであることが望ましいでしょう。
データの可視化・共有が簡単にできる
見積データを蓄積し、活用できるようにすることで、同じ軸で条件を比較すること、同じ部署内で共有することが容易になります。
最後に
本記事では、価格査定の重要性や日本企業が抱える課題、およびうまく進めるポイントや、クラウドを使用する際の必要な機能に至るまで、価格査定について幅広く紹介してきました。
売り上げの向上が難しい昨今、調達・購買活動を経営戦略だと捉え、コスト最適化によって利益を確保することの需要性が増しています。
また、現在のアナログなプロセスからシステム利用による業務効率化を行う必要もあるでしょう。
本記事が、調達・購買業務に携わる皆様のお役に立てれば幸いです。
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