2022.01.25
EDIとは?調達・購買業務における活用やメリット、進め方について解説
皆さんは、顧客やサプライヤーなどのビジネスパートナーと書類を交わす際、FAXや、一度紙で記入しPDFで読み取ったものを使用していませんか?
デジタル化が進む昨今、電子データでのやり取りはますます注目されています。
特に、調達・購買の現場では多くの書類をやり取りするため、EDIの活用は業務効率化に有効です。
本記事では、「EDI」の意味やメリットについて解説します。
TEXT BY Leaner Magazine編集部
EDIとは
EDIは「Electronic Data Interchange」の略で、日本語で「電子データ交換」を指します。EDIはビジネスパートナー間での、コンピュータ上でのビジネスドキュメントの電子形式交換です。主に、発注書のやり取りの際に使用されます。
紙ベースのやり取りから電子データに移行することで、コスト削減、処理速度の向上、エラー削減、ビジネスパートナーとの関係改善など、大きなメリットを享受できます。
EDIは、郵便、FAX、電子メールなどに取って代わります。電子メールも電子的な方法の1つですが、電子メールはコンピューターでなく人が処理する必要があります。人が処理すると、ドキュメントの処理が遅くなりエラーが発生する可能性もあります。一方、EDIドキュメントは注文管理システムなど、受け取る側のコンピュータ上の適切なアプリケーションに直接納めることができるため、処理が簡単です。
EDIで交換される一般的なドキュメントには、発注書、請求書、税関書類、在庫書類、出荷状況書類、支払書類などがあります。EDIドキュメントはコンピュータが処理する必要があるため、読み取り可能なように標準形式を使用する必要があります。標準形式は、各情報が何であるかなどで記述されます。
調達・購買業務におけるEDIの活用・メリットとは?
EDIには、紙のコスト削減や生産性向上、情報処理速度・精度の向上など幅広い活用メリットがあります。
特に、調達実務の現場では、発注書、注文確認書、注文変更書、注文変更確認書など多くの書類が用いられます。したがって、調達はEDIが広く採用された最初のビジネスプロセスの1つです。
EDIを使えば紙の帳票作成の手間やコストを削減でき、業務効率化が可能です。また、データ形式での管理が可能なため、過去データへのアクセスが容易であることやアナログな方法に比べてサプライヤーとのやり取りの手間が軽減されるなど、相見積もりにも取り組みやすくなります。
より具体的には、以下のメリットがあります。
コストのメリット
- EDIに切り替えると紙、印刷、複製、保管、ファイリング、郵便料金、及び書類捜索に関連するコストが全て削減されます。
生産性のメリット
- 紙ベースのタスクを自動化することで、スタッフはより価値の高いタスクに集中でき、生産性を高めるためのツールを提供できます。
- 処理のステータスのリアルタイムでの可視性を有効にします。これにより、顧客や市場の需要の変化に対する意思決定の迅速化と応答性の向上が可能になり、企業は供給主導型のビジネスモデルではなく需要主導型のビジネスモデルを採用できるようになります。
業務効率のメリット
- 判読不能なFAX、注文の紛失、電話での誤った注文によるエラーがなくなり、データを処理するための時間を節約できます。
- EDIはビジネスサイクルを平均61%スピードアップさせます。郵便サービスからの待ち時間の数日または数週間ではなく、数分で処理を完了させます。
- データ品質を向上させ、処理のエラーを少なくとも30〜40%削減します。これにより、判読不能な手書き、FAX /メールの紛失などによるエラーが排除されます。
- EDIを使用すると、注文から入金までのサイクル時間を20%以上短縮でき、ビジネスパートナーとの関係を改善できる可能性があります。
- 正確なビジネスドキュメントを迅速に処理することで、注文のやり直し、在庫切れ、キャンセルされた注文を減らすことができます。
- 注文処理と納期を短縮することで、在庫を減らすことができます
また、以上のメリットの他にも、紙の削減により企業の社会的責任と持続可能性を促進することが挙げられます。
EDIの進め方
ステップ1:送信するドキュメントの準備
まずは、調達・購買業務で使用するデータを収集・整理します。たとえば、発注書を印刷する代わりに、EDIドキュメントを作成するために必要な情報を含む電子ファイルを作成します。電子文書を生成するために利用可能なデータのソースと方法には、次のものが含まれます。
- 画面を介した人間のデータ入力
- スプレッドシートまたはデータベースからのPCベースのデータの出力
- 電子レポートをデータファイルに書き換え
- EDI標準に変換する準備ができている出力ファイルを自動的に作成するように既存のアプリケーションを拡張する
- EDIファイル用のインターフェースが組み込まれたアプリケーションソフトウェアの購入
ステップ2:ドキュメントをEDI形式に翻訳
次のステップは、電子データを入力し、適切なセグメントとデータ要素を使用して、内部データ形式をEDI標準形式に変換することです。管理および保守が可能なEDI翻訳ソフトウェアを使用するのも1つの方法でしょう。この際、内部データをEDIデータに相関させる方法を定義するために、専門的な専門知識が必要です。
翻訳ソフトウェアは、毎日数千のトランザクションを処理する大規模なシステムから、週に数百のトランザクションのみを処理する必要があるPCベースのソフトウェアまで、ほぼすべてのコンピューティング環境と予算に適合するように利用できるため、便利です。
また、EDIサービスプロバイダーの翻訳サービスを使用することもできます。この場合、データをプロバイダーに送信し、プロバイダーは、ユーザーに代わってEDI形式との間の変換を処理します。
ステップ3: EDIドキュメントをビジネスパートナーに接続して送信
ビジネスドキュメントが適切なEDI形式に変換されると、ビジネスパートナーに送信する準備が整います。送信を実行するために、各パートナーに接続する方法を決定する必要があります。いくつかの方法がありますが、その一般的な方法は以下の3つです。
1)安全なIPを使用して直接接続する方法
2)優先する通信プロトコルを使用してEDIネットワークプロバイダー(VANプロバイダーとも呼ばれる)に接続する方法
3)パートナーが好む通信プロトコルを使用してビジネスパートナーに接続するネットワークプロバイダー、または特定のパートナーと交換する予定のトランザクションの量に応じて、両方を組み合わせる方法です。
参考記事 : What is EDI
おわりに
本記事では、EDIとは何かの説明に始まり、EDIのメリット、実際にどのように調達・購買業務に取り入れるのかを解説しました。
EDIを活用することで、調達・購買業務における帳票発行業務を効率化できます。取引先の規定に合わせるなど、利用環境に合った適切なEDIツールを使用し、業務効率化に取り組みましょう。
本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
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