2022.01.28
見積管理とは?調達・購買業務における重要性と業務効率化のポイント
調達・購買業務に関わる皆様は、普段どのように見積管理を行っていますか?
書類でやり取りや管理を行っていたり、それぞれの現場に任せている方も少なくないのではないでしょうか。
コロナ禍のなか、企業を取り巻く経営環境は大きく動いており、調達改革やコスト改革の重要性が高まっています。そんな中で、見積に関わる情報を適切に管理し、活用可能にしていくことは、非常に重要です。
本記事では、見積管理の目的や、業務効率化を図るポイント、見積管理用ツールについて解説します。
TEXT BY Leaner Magazine編集部
調達・購買業務における見積管理とは?
まず調達・購買業務は、大きく取引先や条件を決める「ソーシング」と、決定した条件で実際に発注・検収を行う「パーチェシング」の2つのプロセスに分けられます。、このうち、調達物の品質や価格、納期の大部分を決めるのは「ソーシング」と呼ばれるプロセスです。
※詳しくはこちらの記事をご覧ください。
ソーシングとは?調達・購買プロセスにおける意味を分かりやすく解説
具体的には、サプライヤーに案件の依頼をしたり、回答をもとに価格査定をしたりといった業務を行います。この際に多く発生するのが「見積」です。
見積に関わるデータを適切に管理することで、サプライヤーとのやりとりがスムーズになるほか、過去の実績をもとにした合理的な価格査定を実現したり、取引を可視化することで不正を防ぐといった効果を期待できます。調達の”QCD”を高めるために、適切な見積管理は欠かせない要素の1つなのです。
日本企業における見積管理の課題
多くの日本企業に見られる、見積管理における課題は主に以下の3つがあります。
1つ目は、「現場ごとに見積管理を行っている」ケースが多いことです。
調達・購買部門でまとめて見積を行うのではなく、現場が直接取引先とやりとりされていることが少なくありません。このような管理体制では、適切な取引が難しくなります。
2つ目は、「見積書のフォーマットが統一されていない」ケースが多いことです。
たとえばバラバラなExcelフォーマットで見積書を取得している場合、見積依頼の質が担当者によって属人化されてしまいます。うまく見積依頼できない場合、適切な回答が得られなかったり、取引先ごとにうまく横比較ができません。
最後は、「ノウハウが共有されていない」ことです。
多くの企業では、口頭で見積書管理のやり方を伝えている場合が少なくありません。ノウハウが共有されていないと業務効率が落ちたり、必要なプロセスが抜けることがあるでしょう。
見積管理における業務効率化のポイント
見積管理における業務効率化のポイントは、主に以下の5つがあります。
購買部門に集約して行う
見積もり管理において製造業でありがちなのが、「現場ごとに見積管理を行っていること」です。見積もり業務は現場ごとに行うのではなく、購買部門に集約して行うべきです。原材料だけでなく、間接材など、全ての調達物を購買部門に集約しましょう。
フォーマットを統一する
見積書のフォーマットを規定し、統一しましょう。
フォーマットを統一する際、価格の明細や自社が比較したい軸を横並びで比較できるフォーマットを作成することが重要です。
以下の図のように、見積項目を階層化し、比較可能な状態にしましょう。
見積データの格納方法をルール化する
見積をサプライヤーから集めた際、格納する方法をルール化しましょう。各個人がローカルPCでばらばらに管理するのではなく、サーバー上にアップロードするなど、共有可能な状態にするとよいでしょう。
ノウハウを共有する
見積管理を含む調達活動の進め方やノウハウが属人化してしまい、業務非効率を生んでいるケースが多いです。何らかの事情で担当者が替わる場合や、新人や若手が業務を担当することになった場合に、従来の担当者と同じクオリティ・効率で業務を行えるようになるまで時間がかかることや、コストを最適化できなくなることがあります。
そのため、ノウハウをオンライン上などで目に見える形で共有することが重要です。
システムを活用する
FAXやExcel等でサプライヤーから見積を集めている場合、紙の管理やデータ管理が煩雑となり、また過去データと比較する際にすぐに引き出せない可能性があります。
そのため、見積管理システムを活用することが望ましいでしょう。
見積管理におけるクラウド使用のメリット
近年、見積管理はクラウドで行うことが一般的になっています。
見積管理をクラウドでやることのメリットは以下になります。
システム導入に時間がかからない
システム導入を行ってから即座に使用開始できることは、見積購買システムの重要な要素の1つです。
システムを導入したいと考えてから、使用開始までに複数年かかるとなると、使用開始できる頃には別の課題が発生していたり、トレンドが変わっていたりと、システム導入のメリットを最大限発揮できない可能性があります。
初期設定が簡単にできる
システムを使用する上で、自社で使いやすいよう設定が簡単にできることが重要です。
また、サプライヤーとのやり取りで使用するため、自社にとってだけではなく、サプライヤー側にとっても使い始めやすいスシテムであることが望ましいでしょう。クラウドであれば、これらの条件を満たすことができます。
蓄積したデータの活用ができる
クラウド上に見積関連データを蓄積することで、検索・共有が容易になります。また、場所を選ばす、データにアクセス可能になることもメリットでしょう。
過去に集めた見積データに簡単にアクセスでき、類似案件の見積管理がスムーズできるようになるのが大きな利点です。
ペーパーレス化による業務効率化
見積書を紙やFAXで授受している場合、どうしても紙の管理が発生してしまいます。見積管理システムの使用でペーパーレス化が実現でき、紙の保管やFAXでのやり取りがなくなれば、業務を大幅に効率化できるでしょう。
最後に
本記事では、見積管理の概要や日本企業が抱える課題、および業務効率化のポイントや、クラウドを使用する際のメリットに至るまで紹介してきました。
本記事が、調達・購買業務に携わる皆様のお役に立てれば幸いです。
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