2020.11.28
プロキュアメントとは?用語の意味やポイントについて解説
事業活動を営むすべての企業が行っている「プロキュアメント」。用語の意味について正しく理解できているでしょうか?
バックオフィス以外の人にとっては馴染みの薄いキーワードかもしれませんが、すべての従業員に関係しているため、その意味は理解しておきたいところ。
本記事では、「プロキュアメントとはなにか」から、気を付けるべきポイントまで解説します。
TEXT BY Leaner Magazine編集部
プロキュアメントとは
「プロキュアメント」(procurement)は、直訳すると「調達」と訳される用語です。
より具体的には、ビジネスにおいてサービスや商品を購入または取得すること、およびそのプロセス全体のことを指します。
プロキュアメント(調達)はよく「パーチェーシング(購入)」と混同されます。しかし、これらは異なるものとして認識する必要があります。
調達は、ベンダーから商品やサービスを選択、識別、取得するといった一連のプロセスを表す言葉として定義されます。調達の一連のプロセスは、正しい量の商品とサービスが、納期どおりに受け取られ、提供・活用されることまでを含んでいます。
一方、購入は組織が必要とする商品やサービスを取得することのみを表す言葉であり、その他の側面には重点を置いていません。
つまり調達は、購入を含むより大きな概念であり、「購入は調達の一部」とも言えるでしょう。
プロキュアメントのプロセス
調達プロセスとは、企業が目的を達成するための要件を満たし、商品やサービスを取得するために行う一連の活動を指します。
調達プロセスは、購買金額に直接影響するため、きわめて重要です。
適正価格での調達を持続的に実現するためには、企業が調達プロセスを定期的に振り返り・評価することが不可欠。プロセスが計画どおりに機能していない場合や問題が発生した場合は、プロセスに変更を加える必要があるでしょう。
調達のプロセスは、以下のようなものが含まれます。
- 要件の整理
- ベンダーの選択
- 相見積もりの取得
- 価格交渉
- トライアルなどを含む活用検証
- 最終選考
- 契約手続き
- 最終購入
これらのプロセスごとに、業務を評価できる体制を構築しましょう。
適切な調達プロセスは、企業のビジネスモデルや組織体制、ニーズによって異なるため、自社に適したプロセスを追求することが重要です。
プロキュアメントの種類
企業が調達する商品やサービスには、大きく分けて「直接材」と「間接材」の2種類が存在します。
直接材調達
直接材とは、企業の売上に直接関わる購買品のことを指します。
例えば製造業では、製品を製造するために必要な原材料や部品、資材などが当たります。
これらを調達することを直接材調達といい、日本では大企業を中心に調達部・購買部といった専門組織が担うケースが多いです。中小企業では、管理部や総務部といった部署が役割を担うこともあるかもしれません。
直接材調達の効率は、会社の収益性を決定する重要な要素です。
調達の過程で障害が発生すると、企業の製品製造能力に影響を及ぼすこともあります。
間接材調達
間接材とは、企業の売上に直接関わりはないものの、日常業務に不可欠なサービスまたは商品のことを指します。
例えば、携帯電話や事務用品、これらに付帯するメンテナンスサービスなどが該当します。
間接材調達は、日本においては総務部や管理部が担当するケースが多いでしょう。
欧米では、Chief Procurement Officer(CPO)という役職が存在し、専門の部署が存在するケースも少なくありません。
適切な調達活動をサポートするシステムも多数存在します。
参考記事:なぜ日本は“コスト削減後進国”と言われるのか。戦略総務を配置し、間接部門から経営改革をすることの持つ意味
間接材調達の効率性は、事業運営に大きな影響を及ぼします。
特に大企業では、調達が適正に行われていないために、数億円の無駄が発生しているケースもあり、定期的な見直しが必要です。
理想的なプロキュアメントを実現するための3つの要素
理想的な調達を実現するためには、次の3つの要素に配慮する必要があります。
組織体制・メンバー
まず、調達プロセスを実際に動かすチームが重要です。
調達担当者の数は、「調達総量」や「調達する商品やサービスの数」、「高額または重要な調達の割合」にある程度比例します。よって中小企業の場合は少なく、大企業の場合は多くなるでしょう。
特に大企業では、調達プロセスの各段階に分けてチームを組織するケースが多くなります。このとき、全体を統率できるマネジャーの存在が不可欠になります。人材へ投資し、育成していくしくみが求められるでしょう。
調達プロセス
調達プロセスの効率性もまた、理想の調達活動を実現するために重要です。
調達部門が組織化・プロセス化されていないと、活動全体に非効率と不整合が生じます。
結果として、購入・支払いに遅延や問題が発生したり、現場への商品供給が滞ったりするかもしれません。
こうした問題を回避し、スムーズな調達を実現するためには、効率的かつ透明性の高いプロセスを確立することが重要です。
デジタル化
調達活動のすべてを、デジタルデータとして保持しておくことは非常に重要です。
調達プロセスにおける各ステップをデジタル化することで、あらゆる情報を活用することが可能です。
例えば相見積もりを取得する際、RFP(Request for Proposal)ツールを活用することで、ベンダーとのやりとりや製品要件の内容が記録されます。これらの情報はチーム全員で閲覧することができ、ノウハウの共有やガバナンスの強化にもつながります。
コラボレーションを促進するだけでなく、取引を円滑に行うためにも、プロセス全体をデジタル化することは非常に重要です。
終わりに
プロキュアメントという用語の意味と、ポイントについて理解いただけたでしょうか。
事業活動を営むすべての企業で、調達は日常的に行われています。しかし、理想的な調達活動を実現できている企業は、決して多くはありません。
本記事の内容を活かし、今一度自社の調達を見直してみてはいかがでしょうか。
競合他社との差別化を図る、打ち手の1つになるかもしれません。
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