2020.11.16
銀行振込手数料の経費削減|インターネットバンキングや振込代行サービスを活用した削減アイディアについて解説
会社が大きくなれば、自ずと銀行を介した振り込みの数が増えます。銀行振込手数料は、多くの企業にとって無視できないコストの1つです。
本記事では、銀行振込手数料のコスト構造や特徴について解説します。その上で、コスト削減に向けた銀行との直接交渉の方法や、インターネットバンキング・振込代行サービスを活用した削減方法について紹介していきます。
TEXT BY Leaner Magazine編集部
銀行振込手数料の特徴
銀行振込手数料とは、取引先企業の銀行口座に送金したり、自社の従業員の銀行口座に給与を振り込む際に掛かる手数料のことです。事業が拡大すれば取引先が増え、従業員も増えます。それに比例して増加するのが、銀行振込手数料です。
銀行振込手数料は会社の大小に関わらず無視できない費用と言えます。また、これは一件あたりの手数料を引き下げることで、利益率改善が見込めるという意味でもあります。その第一歩として、まずはコスト構造を理解し、削減ポイントを押さえていきましょう。
振込手数料のコスト構造
振込手数料は、「手数料単価」と「振込件数」の掛け算で求めることができます。
振込手数料 = 手数料単価 × 振込件数
手数料単価と振込件数のうち、削減目標として設定しやすいのは「手数料単価」でしょう。振込件数は企業の取引数や従業員規模に比例するので、これを削減目標に設定することは難しいかもしれません。
一方で手数料単価の引き下げは、銀行との価格交渉やインターネットバンキングへの移行、振込代行業者の利用によって達成できます。
手数料単価は、振込の種類や宛先振込金額により変わってきます。たとえば、振込の種類は「総合振込」と「給与振込」に大きく分けられます。一般的に給与振込の手数料の方が総合振込より割安です。
また同行間での振込か、他行に振込をするのかでも手数料単価は変わり、同行間の方が安いです。さらに振込総額が大きいほど手数料単価は高くなりますが、振込代行業者によっては手数料が一律である企業もあります。
手数料単価を削減するためのアプローチ
手数料単価のコスト削減には、以下の3つのアプローチがあります。
- 銀行との交渉によって手数料単価の減免措置を受ける
- インターネットバンキングに移行する
- 振込代行サービス業者を利用する
銀行との交渉によって手数料の減免措置を受ける
銀行が開示している振込手数料単価は一般向けの”最も高い価格”であり、交渉次第で引き下げ可能です。この交渉の成功率は、会社の規模や売上などバイイングパワーによって左右されます。
しかし、交渉の失敗がマイナス要因をもたらすことはほとんどないため、試みる価値はあるでしょう。銀行と値下げ交渉を行う際には、2つのポイントを押さえる必要があります。
ポイント1 : 手数料単価のベンチマークを知る
ポイント2 : 複数の銀行と交渉して、相見積もりを行う
手数料単価のベンチマークを知る
銀行との値下げ交渉に望む前に把握しておくべきなのが、手数料単価のベンチマークです。ベンチマークとは獲得しうる適正最安価格のことで、会社が支払っている銀行振込手数料の1件あたりの単価は、実は割高になっていることが多いです。
Leanerなどのツールを活用することで、手数料単価のベンチマークを把握することができます。そのベンチマークを踏まえて交渉に望むことで、交渉の成功率を挙げることができます。
複数の銀行と交渉して、相見積もりを行う
メインバンクに加え、まだ取引関係がない銀行とも価格交渉・見積もりを行うことで、より自社に見合った条件や契約を結べる可能性が高まります。これを相見積もりと言います。また、この際に取引先銀行の支店長が主な交渉相手となります。
銀行との値下げ交渉は非常に属人的であり、値下げ幅にもバラつきがあるのが現状です。交渉を通じて得られた手数料の値下げ幅が小さかった場合には、以下に紹介するオンラインバンキングや振込代行業者を検討されると良いかもしれません。
インターネットバンキングに移行する
インターネットバンキングを活用することで、普通の銀行振込と比べて手数料が安く抑えられます。銀行の窓口業務コストが下がるため、より安価な手数料での取引が可能になるのです。
また銀行取引の電子化によって、財務面のデータ連携やキャッシュフローのモニタリング・リスク管理など、手数料の削減に留まらないメリットを享受できます。
中でも三菱東京UFJのBizSTATIONサービスや、みずほ銀行のe-ビジネスサイト等は、外為サービスや外部APIサービスとの連携が充実している高機能版インターネットバンキングとして有名です。
またインターネットバンキングの中には、有人店舗を持たないインターネット専業銀行が存在します。楽天銀行やSBI住信銀行などが該当します。
こうしたインターネット専業銀行は、有人店舗を持たないことでコストを抑え、業務を簡素化しています。そのため金利や手数料がメガバンクと比べて安く、かつ融資に至るスピードが早いです。一方で、有人窓口を介したサービスや対応を受けることは難しいでしょう。例えば、銀行振込手数料の値下げ交渉などは困難になります。
振込代行サービス業者を利用する
振込代行サービスは、企業に代わって各種振込データの作成や銀行への送信手続きを行ってくれるサービスです。インターネットバンキングへの移行だけでは、他行への送金手数料は高止まりすることが多いです。しかし、振込代行サービスを利用することでどの銀行口座への送金手数料も一律で下げることができます。
手数料単価という点で、振込代行業者は銀行の開示価格に比べて安く、かつ送金額の大小に関わらず手数料が一律になっていることが多いです。その理由は代行業者のバイイングパワーの大きさにあります。
振込代行業者は取り扱う送金件数や送金額がとても大きいため、銀行側からすると上客であり、様々な減免措置が働きます。その代表的な例が手数料の値下げと一律化です。銀行との交渉がうまく行かなかった企業でも、振込代行業者を利用することで、その値下げ交渉の恩恵を受けることができます。
以下、日本国内で代表的な5つの振込代行サービスについて解説します。
ウェブフリコムは、フォーライフシステムとNTTスマートトレードが連携して運営している振込代行サービスです。総合振込の手数料は~440円(税抜、2020年現在)、給与振込は~262円(税抜、2020年現在)で行うことができます。また総合振込では、当日の11:30までに受付した振込依頼を当日中に実行できることが特徴です。
株式会社ミロク情報サービスが提供する振込代行サービスです。総合振込の手数料を一律316円/件(税込、2020年現在)、給与振込を一律183円/件(税込、2020年現在)で行うことができます。請求書代行入力プランなど、振込業務の完全委託によって業務効率化も同時に図れることが特徴です。
オリックスグループが提供する振込代行サービスです。総合振込が一律260円(税抜、2020年現在)で行えるのが魅力です。一方、給与・賞与振込に利用することはできません。
クレディセゾングループが提供する振込代行サービスです。総合振込一律286円(税込、2020年現在)、給与振込を一律132円/件(税込、2020年現在)で行うことができます。振込エラーが発生しても当日13:30までにデータ修正すれば、無料で再振込できることが特徴です。
大塚商会が提供する振込代行サービスです。総合振込を初期費用3300円(税込、2020年現在)、一律手数料418円/件(税込、2020年現在)で行うことができます。関連商品にはたよれーる給与業務支援サービスがあります。当サービスは給与振込を基本料金2,200円(税込)~、振込手数料190円(税込・1回)の低価格帯で行えることが特徴です。
終わりに
近年、銀行振込手数料はコスト削減対象として、メスを入れやすい費目になりつつあります。
これは、インターネットバンキングや振込代行サービスが登場したことで選択肢が増えたためです。加えてここ2、3年は振込代行サービス業者が増加したことで、価格競争が進み、給与振り込みの最低手数料は150円を下回り、総合振込も200円代に半減しています。
そのため、サービスを切り替えや銀行との価格交渉次第では年間数十万円規模のコスト削減を見込める状況になっています。
これを機会に銀行への価格交渉やインターネットバンキング・振込代行サービスへの切り替えなどを検討して、振込手数料のコスト削減に挑戦してみてはいかがでしょうか。
読者の皆様が自社における振込手数料のコスト削減のヒントを見つけて頂けたら幸いです。