2020.10.20
外注費の削減方法とは?外注化のメリット・デメリットからコスト削減方法まで解説
ほとんどの企業で発生している費用の1つに、外注費(アウトソーシング費)があります。
実際、仕事量過多・人材不足に悩まされている企業にとって、一部の業務を外注化することは、数々のメリットがあります。しかし、むやみに外注化すると、内製化した時よりもコストが嵩んでしまいます。
多くの企業で当たり前のように発生している外注費だからこそ、必要最小限の業務を最適な費用で取引できているか、確認する必要があります。本記事では、外注で得られるメリット・デメリットから、最適な外注価格で取引するためのステップまで、1つ1つご紹介していきます。
TEXT BY Leaner Magazine編集部
外注費(アウトソーシング)について
外注費(アウトソーシング)とは、外部の法人や個人に対して、自社の業務を外部に委託した場合に必要なコストの総称です。外注する業務として、代表的なものに以下などがあります。
- 経理・給与事務などのバックオフィス業務
- デザイン制作業務
- コンサルティング業務
- データ入力業務
- コールセンター業務
外注する業務は多岐に渡ります。しかしどのような業務で発生した費用でも、管理上は「外注費」と一括りにまとめてしまうことが多いです。実際、会計で用いられる勘定科目でいうと「外注費」「業務委託費」などが使用されています。
結果的に、勘定科目単位だと、何のために使われた費用なのかが見えづらいという特徴があります。外注費の削減を考える際は、勘定科目単位で考えるのではなく、外注するものをきちんと明確にするところから始めましょう。
業務を外注化(アウトソーシング)するメリット
業務の一部を外注するとき、考えるべきことは、「業務を社内で内製するときとどのような差があるのか」という点です。まずは、外注する際に得られるメリットを網羅的に把握しましょう。
社外の高い技術・知見を活用できる
高いスキルが必要となる業務があるとき、皆さんはどのように対処しますか?
社内で専門性の高い業務を扱う際、人材を採用することや、自社内で育成するなどの方法があります。しかし、社内で1から始めようとしてしまうと、初期費用が多くかかる上、すぐに対処することは難しくなってしまいます。
このようなケースのとき、当該業務を専門にしている人や企業に業務を委託することで、すぐに業務に対処することができます。特に、社内リソースが限られている中小企業を中心に、このようなメリットが活かせることが多いです。
正社員がコア業務に集中できる
経理・給与事務などのバックオフィス業務と企業活動の根幹をなすコア業務を兼業していると、どうしてもコア業務に使える時間が少なくなってしまいます。特に人材不足に悩まされている会社にとって、正社員にどのような仕事を任せるのか、取捨選択するのは重要です。
そのような時にバックオフィス業務やその他の事務業務を外注化することで、社員をより重要な仕事のみに集中させることができます。また、事務業務の担当者が入れ替わる際も再教育する手間が省け、業務効率化に繋がります。
繁閑調整が必要な業務の固定費を削減できる
どの企業にも繁忙期はあります。特に、ホテル業界や飲食業界などでは、年間・時間帯に応じて繁閑の差が激しいです。そのような業界内の企業は、忙しいときのみ、業務の一部を外注化すると良いでしょう。
これによって、忙しい時にのみ人件費や設備費をかけるだけで済み、一年中かかる固定費は少なくなります。このように臨機応変に委託業務を変更することで、繁閑に応じたリソースの配分を行うことができます。
業務を外注化(アウトソーシング)するデメリット
マネジメントに工数がかかる
業務を外注するときに、発生してしまう可能性がある問題として、委託業務先との連携が上手くとれず、ミスが起こってしまうことが挙げられます。例えば、自社のコンプライアンスやガイドラインの理解が進んでいないことで成果物に支障が出てしまうことや、委託業務範囲が明確になっていないために、業務がスムーズに進行できないことがあります。
このような問題を防ぐために、業務委託先と連携をとる担当者をつけ、マネージする必要が生じます。
自社に最適な依頼業者が見つかるとは限らない
新規で外注業者を探す際、自社が求めている条件の依頼業者が見つかるかは不確定です。これにより、外注費が想定していた額よりも嵩んでしまうことや、外注先が見つかるまでにリードタイムが生まれてしまうこともあります。
機密事項の漏洩リスクがある
外注する際は、個人情報などをはじめとする社内データを外の業者に展開することが多いです。この時に気をつけるべきことは、セキュリティー要件です。外注化する場合、社内データの漏洩などのリスクが生じてしまうため、セキュリティー要件の入念な確認が必要です。
外注費を削減する具体的な3つのプロセス
企業や部署によって外注する業務が異なるため、「外注費」という大きなくくりでコスト削減に取り組むことは難しいです。ただし、外注費も正しいプロセスで行うことで、経費削減を実現することが可能です。ここでは、外注費を削減するために必要な手順を紹介していきます。
ステップ1:BPR(業務改革)で依頼業務を減らす
まずは、外注しようと考えていた業務とそれに付随する業務の業務量を適正化しましょう。具体的には、その業務が企業が利益をあげる上で本当に必要な業務なのか、再検討していきます。確認するべきプロセスは、以下のとおりです。
1)外注する業務に付随する業務プロセスをフローチャートに直す
依頼業務の川上から川下までを可視化することで、普段は意識していないプロセスの細部までを把握することができます。
2)無駄なプロセスを排除する
フローチャートから、排除できる工程を探しましょう。たとえば、電子申請に切り替わった会社であるにも関わらず、契約書類を紙に印刷する作業。このような、他のプロセスに影響することなく削減できる業務に関しては、削除していきましょう。
3)効率化できる方法を探す
部署単位では最適であっても、他の部署に負担をかけている業務など、全体で見たときに効率的でない業務もあります。そのような業務を効率化すると、業務量をさらに削減できるかもしれません。具体的には、ある部署では全ての書類を電子化している一方で、まだ紙ベースで一部の書類を管理している部署が存在しており、そこでは紙で出力している、というようなケースが挙げられます。
詳しい業務改革の方法は以下の記事をご参照ください。
これらを検討した後、外注したい業務が外注・内製どちらの方が適しているのかを判断します。具体的な判断基準としては、以下があります。
1)コア業務を圧迫しているかどうか
社内で依頼予定の業務を行うと仮定したときに、コア業務を圧迫させる可能性があるかどうか確認しましょう。具体的には、必要な作業工数・スキル・必要な担当者などを総合的にみて、判断します。
2)社内の人件費との差
依頼予定の業務を内製化する際に必要な作業時間あたりの社内人件費と、外注したときにかかる費用を比べてみましょう。ここでは正確な値を算出することは難しいため、およその社内人件費(時給換算など)を用いて外注費と比較しましょう。これらの増減が顕著だった場合、外注・内製をする判断をしましょう。
上記は、以下のようなマトリックスにまとめられます。
ステップ2:業務要件を明確化する
外注する際に、取引先に対してわかりやすい指示を出すことは、業務をスムーズに進めるために必要不可欠です。依頼業務内容はもちろんのこと、その他の留意点などを事前に伝えることで、適切なコミュニケーションが可能になります。また、業務内容が明確になっていることで、見積価格も正確に出してもらえることが多いです。これにより、取引先も快く受け入れてくれるでしょう。
外注する際に明確にすべき要件は、以下のような項目があります。
- 依頼業務の目的
- 業務内容
- 必要となるスキル(&単価)
- スケジュール
- 予算
- その他留意点
ステップ3:価格交渉をする
要件が明確になったら、依頼業者の候補を出して、相見積もりを取るなどして価格交渉をしていきましょう。価格交渉は、単に値段が下がればいいというものでもありません。取引先と、中長期を見据えた関係性をつくりながら、良い条件を獲得することが求められます。
価格交渉の詳しい方法はこちらの記事を参照してください。
終わりに
外注のメリットやデメリット、そして外注費を削減する際のプロセスはお分かりいただけたでしょうか?
外注費は、一見中身がわかりづらく、削減がしにくい費用のように感じますが、一方で無駄なコストが発生しやすい費用の1つでもあります。
皆さんの企業でも、外注費をこの機会に見直して見てはいかがでしょうか。